2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

飴玉 赤の広場 きりん  

モスクワに赴任して早四年。日本に残してきた息子はもう六歳になる。 最後に遊んだのはまだ二歳の時、きりんの長い首を不思議そうに眺めていた息子、アイスクリームを落として泣いていたのが懐かしい。 そんなことを考えながら今日も会社へ向かう。 赤の広場…

帽子 雑草 海

僕は雑草のような人間だ。特に害を与えるわけでもないので周囲の人から見向きもされない”ただそこにある”だけの存在。そんなことをまだ薄暗い砂浜で独り、海を眺めながら茫漠と考えていた。 強い風が吹く。 飛ばされてしまわぬように帽子を目深にかぶり、あ…

三題噺 雨 フライパン 姫路城

認知症の父がフライパンで自分の頭を何度も何度も殴り、そして逝った。 母親を5歳の時に交通事故で亡くしたが、寂しいと思ったことは一度もない。 父はたくさん遊んでくれた。 小学生の時、父の生まれ故郷である兵庫県に行き、姫路城を訪れた。 あの日も今日…

三題噺 地図・コーラ・たぬき

ドライブ中、慣れない山道で迷ってしまった。隣で彼女が地図で現在地点を確認している。ふと訪れた静かな時間の中で見つめる彼女の横顔は美しく、ひょっとしてタヌキが化けているのではないかと思う程であった。ー突如、地震が起きて静かな時間が終わりを告…

三題噺 時計塔 湖 パスポート

あの日、湖に出かけてから毎晩同じ夢を見る。 羽田空港の国際線、そこからどこに行くかはわからない。 もちろん、最近海外旅行に行ったわけではないし、むしろパスポートすら持っていない。 ただ何時間も飛行機に乗り、西洋らしきその国の片田舎を観光する。…

Christmas Panic

They really like the words 恋する and ふざける 至って正常マトモな 過ぎ去りしLost World宙を舞って消えちまった6分前のラリルレロ 左手だけが覚えてる黒と白のBoleroの音 弾けなくなったピアノの6年間の想い出を かき消すように窓際 雨の降る夜の街に …

Turn dry

夜を使う炎の向こう側 水を得たfeelはコンクリートの中弾け出す感情 溢れ出すmemory theoryは表現 こなすallday本音かきむしる 奴らの背に 赤青の沈黙 汚れたfame0に戻す ツバメのように滑降 war zoneすり抜けpublic enemy手を下すhater 明日には泣きつく 瞬…