帽子 雑草 海

僕は雑草のような人間だ。特に害を与えるわけでもないので周囲の人から見向きもされない”ただそこにある”だけの存在。そんなことをまだ薄暗い砂浜で独り、海を眺めながら茫漠と考えていた。

強い風が吹く。

飛ばされてしまわぬように帽子を目深にかぶり、あてもなく海岸をフラフラと歩きだした。